地域活動

富士山とうめいマルシェ

クリニックマルシェ開催への想い

医療の現状と透析医療の課題

日本の医療は、今、大きな転換点にあります。少子高齢化や医療人材の不足、医療費の増大など、現場を取り巻く状況は非常に厳しくなっています。透析医療の領域でも同様に、患者さんの高齢化が進み、「フレイル(心身の虚弱)」 が大きな課題として浮かび上がっています。

フレイルには、筋力や体力の衰えといった身体的な要因だけでなく、栄養状態の悪化、そして「社会とのつながりを失うこと=社会的フレイル」も含まれます。透析に通い続ける患者さんにとって、地域や社会との関わりを保ち続けることは、治療の質や生活の豊かさに直結する大切なテーマです。

当院の使命 ― 「生きる」と「活きる」を支える

これまで当院では、透析治療とあわせて、運動療法や栄養療法を取り入れることで、身体的なフレイル対策に取り組んできました。けれども、私たちが本当に果たしたい役割は、「命をつなぐ=生きる」ことの支援にとどまりません。

私たちの使命は、「活きる」人生を支えること

透析を受けながらも、自分らしく地域の一員として生活を楽しみ、笑顔で過ごせるように。そのために医療だけでなく、人と人をつなぐ場づくりが欠かせないと考えています。

マルシェという新しい挑戦

こうした想いから生まれたのが「クリニックマルシェ」です。
マルシェを開催することで、

  • 患者さんが地域や社会とつながり、「活きる」実感を得られる場をつくること
  • 地域の方々に、透析医療や高齢者医療への理解を深めてもらうこと
  • 医療と暮らしが自然に交わり、支え合いの循環が生まれること

これらを目指しています。

マルシェは「買い物」や「イベント」の場にとどまりません。人と人が出会い、語り合い、支え合う場です。その中で芽生えるつながりこそ、患者さんの生活を豊かにし、地域を元気にする力になると信じています。

未来に向けて ― 防災マルシェへの展開

今回の取り組みは、単発のイベントで終わるものではありません。今後は「防災」をテーマにしたマルシェも企画し、自助 → 互助 → 公助 へと広がる地域の力を育てていきたいと考えています。

透析患者さんをはじめ、高齢者や子ども、地域で暮らすすべての人が、もしものときにも安心できる仕組みを。当クリニックがその「つなぎ役」となり、地域と医療が協力し合う未来を描いていきます。

第一歩としてのファミリーマルシェ

その最初の一歩が、今回の「ファミリー向けマルシェ」です。子どもから大人まで気軽に参加できる場をつくり、食や体験を楽しみながら、自然に医療や健康への関りが深まる。そんなあたたかい時間を目指しています。

クリニックが地域とつながり、患者さんとご家族の「生きる」と「活きる」を支えていく。
このマルシェが、地域と医療がともに歩む未来の小さなきっかけになることを願っています。